どのような家が空き家になるのでしょうか。
一般的には、「人が住んでいない家、人が使用していない建物」となりますが、「空家等対策の推進に関する特別措置法」において「空家等」とは、「建築物又はこれに附置する工作物であって、居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地をいう。」と定義されています。
具体的には、概ね年間を通して居住している者がおらず、人の出入りも無い状態の家屋が「空家等」と判断されます。
空き家を相続したが利用する予定がない。どうすればいいのでしょうか。
相続された空き家が、建物として活用できる状態であれば、賃貸物件として貸し出したり、売却することが考えられます。
既に老朽化しており、リフォーム等をしても使用することが難しい建物の場合は、取り壊して更地として所有するか、土地を売却することが考えられます。
少なくとも、建物をそのまま保有する場合も、更地にして保有する場合も適切に維持管理することが必要となります。
空き家を放置していると、どんな問題が起きますか。自己所有物件なので誰も困らないのではないでしょうか。
空き家が適正に管理されずに放置されると著しく老朽化が進み、以下のような問題が起きる可能性があります。
①空き家が老朽化やシロアリの被害等で弱くなり、倒壊して道路の通行を妨げたり、通行人や隣家に被害を与える恐れがあります。
②台風等の強風で瓦等が飛び、周囲の家や通行人に被害を与える恐れがあります。
③ポストに郵便物が溜まっていたり、窓ガラスが割れている等の状態だと留守であることが分かり、ゴミを捨てられたり、不審者が住みつく等の心配があります。
空き家の所有者には、近隣の生活環境を悪化させることがない様に、建物を適切に維持管理する責任があります。
貴重な財産であるはずの住宅が、なぜ、適正に管理されていない放置空き家となってしまうのですか。
国土交通省の調査では、住宅が空き家となる契機として、親所有の住宅を相続して取得したケースが半数近くを占めています。良くある事例では、子供が県外へ移動後結婚して戻らない場合、親を呼び寄せる・親が亡くなることで、実家が空き家になります。
空き家となった場合、不要であれば解体することや賃貸、売買等の活用が考えられますが、解体費用等の経済的理由や経済的な価値以上に個人の「想い」から解体や活用をためらうケース、更には、空き家の相続権者が複数人存在し、処分方法について意見が折り合わないことなどがあります。
このような場合、所有者が遠方に住んでいることなどにより、適正に管理が行われず、放置されることが多いと考えられます。
空き家所有者の管理責任はどうなるのですか。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」において、「空家等の所有者又は管理者は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとする。」と規定されています。
具体的には、朽廃により瓦、外壁等の落下、飛散、剥離が生じないよう空き家の状態をチェックし、問題があれば補修を行うことや敷地内の斜面や石垣が崩壊しないよう修繕を行うこと、樹木が隣家や道路に越境しないよう枝打ちや伐採を行うなど、近隣住民の生活環境に悪影響が生じないよう管理する必要があります。
空き家を行政に取り壊してもらうことはできないのですか。
どんな空き家でも私有財産であり、行政が勝手に取り壊すことはできません。
老朽化して危険な空家等については、「空家等対策の推進に関する特別措置法」において、市町村が必要に応じて指導、勧告、命令を行うことができるとされており、所有者等が命令に従わない場合には、行政代執行法の規定に基づき所有者等に代わって市町村が取り壊し、費用を所有者等に請求することが可能となっています。
空き家を地域の役に立てたいのですが、どのような方法が考えられますか。
無償又は低額で地域に空き家を提供し、サロンなど地域交流の場や移住を希望する方のお試し住宅として活用すること等が考えられます。
地域の活性化に貢献できる活用方法について、市町村や地域の方々に相談してみてください。
隣の人と境界でトラブルになっています。どうしたらよいでしょうか。
まずはお近くの土地家屋調査士にご相談ください。相談内容により土地家屋調査士が境界確定協議を行ないます。その他、主な方法として、法務局による筆界特定制度、ADR(裁判外紛争解決手続)制度などの活用があります。
空き家相談は無料ですか。事前に予約が必要ですか。
空き家相談は、長野県建築士会本会事務局と各地の建築士会事務所で扱っています。相談は無料で、電話での相談もお受けします。なお詳細な相談が必要な場合は、予約によりご相談をお聞きしています。
匿名での相談は可能ですか。
匿名での相談にも応じますが、空き家の所在地、相談者の住所などその他の事項について可能な範囲でお知らせください。
県外に住んでいるのですが、メールや電話での空き家相談は可能ですか。
メール(建築士会本会事務局のみ)、電話での相談にも対応します。
まだ空き家ではありませんが、相談できますか。
今後、空き家となることについての心配なケースもあると思いますが、そういった相談にも応じます。
空き家バンクとはどのようなものですか。
「空き家バンク」とは、空き家の賃貸・売却を希望する所有者から提供された情報を集約し、空き家をこれから利用・活用したいとお考えの方に紹介する制度です。
各市町村は、それぞれ独自に空き家バンク制度を整備しています。(全ての市町村に必ず制度があるわけではありません。)
また、長野県では、移住交流事業「楽園信州」と「一般社団法人長野県宅地建物取引業協会」が協定を結んで運営する空き家情報のポータルサイト「楽園信州空き家バンク」を開設し、各市町村と加盟不動産会社が協力して空き家と移住に関する情報提供を行っています。
https://rakuen-akiya.jp/
空き家バンクに登録したいが、登録可能ですか。
空き家所在地の市町村に相談をし、空き家バンク制度に登録します。その後、空き家利用希望者からの申込みを待ちますが、場合により、市町村と提携している不動産会社が実務を担当します。
登録方法や運用が市町村ごとに異なりますので、詳しくは各市町村の公式ホームページをご参照いただくか、窓口までお問い合わせください。
空き家バンクに登録する際、家財道具はどうしたらいいですか。
一般的には、空き家を貸し出す場合、所有者の家財等の私有財産は建物に残さないのが通常です。やむを得ず家財道具等を残す場合は、1箇所に集め鍵をかけるなど、紛失によるトラブル防止や火災等への対応が必要となります。不要であれば各市町村のゴミ収集ルールに従って処分してください。粗大ゴミの処分は、申込みや処理手数料が必要となる場合がありますので、市町村に御確認ください。(市町村では収集できないゴミもあります。)
空き家を紹介してもらうにはどうしたらいいですか。
各市町村は、それぞれ独自に空き家バンク制度を整備しています。市町村から空き家の紹介を受ける場合は、各制度に準じた申し込み手続きが必要となります。詳しくは各市町村の公式ホームページをご参照いただくか、窓口までお問い合わせください。(全ての市町村に必ず制度があるわけではございません)
空き家を購入(賃借)したいので見学したいが、どのような手続きが必要ですか。
空き家バンクを運営する市町村では、予め連絡を取れば空き家を案内してもらえる場合があります。詳しくは各市町村の担当窓口へ御連絡ください。
親が亡くなり、親が住んでいた親名義の建物が空き家となっています。相続するにあたり、どのようなことに気を付ける必要がありますか?
相続が発生した際、家屋が親名義の場合、まずすべきことは、遺言書の有無の確認、相続財産(負債も含めて)の調査、法定相続人の確定です。その後、その空き家を今後どうするかを含めて相続人間で話し合ってください。
親が亡くなり、親が住んでいた親名義の建物が空き家となっています。相続放棄すれば、空き家の管理はしなくてすみますか?
民法940条により、相続放棄した者も、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、「自己の財産におけるのと同一の注意」をもって管理する義務があります。
親が亡くなり、親が住んでいた親名義の建物が空き家となっています。兄弟姉妹が多く、誰が相続するか決めてなく名義変更もしていませんが、空き家のまま放置しておいても宜しいでしょうか?
名義変更をしていなくても、相続人は共同して空き家の管理をする必要があります。相続人全員で空き家を管理しながら、併せて相続人全員で話し合いをして相続人を確定させてください。もし話し合いがつかない場合には、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てて、裁判所で話し合うこともできます。
父が認知症で老人ホームに入所したため、父が住んでいた父名義の住宅が空き家になりました。父名義のまま勝手に処分しても宜しいでしょうか?
勝手に処分することはできません。仮に処分する必要があるとしても、成年後見制度を利用し、居住用財産処分の家庭裁判所の許可を得る必要があります。
成年後見制度とは、認知症等により判断能力が不十分な方を保護し支援する制度ですので、後見人等が選任されても処分方法や内容によっては、許可されない場合もあります。また、売買等による対価は、父親の財産ですので、父親の財産に組み入れて管理する必要があります。
親が亡くなり、親が住んでいた親名義の建物が空き家となっています。亡くなった親名義のままで、売買することができますか?
売買することはできません。
相続人間で遺産分割協議等を経て、相続人への相続登記をしたうえで、その相続人が売主として売却することができます。
親が亡くなり、親が住んでいた親名義の建物が空き家となっています。親にはまだ多額の借金がありますが、価値のない建物なので相続してもかまいませんか?
価値のない建物でも相続すれば、死亡した親の借金も併せて相続したことになり、借金を支払う義務が生じます。借金を相続したくない方は「相続放棄」と呼ばれる手続をする必要があります。相続放棄は、原則、死亡してから3か月以内に家庭裁判所に申立を行う必要があります。
住宅を相続しましたが、遠方に住んでいて管理できません。どうすればよいでしょうか。
管理サービスを行う業者もありますので、ご相談ください。
空き家の維持管理を管理代行サービス業者にお願いしたいと思います。どのようなサービスを行っているのでしょうか。
サービスの種類としては、郵便物の回収、外観の撮影、施錠確認、庭木、雑草の報告、災害時の巡視、家内換気、通水、雨漏り点検、排水トラップの注水、投げ込みごみの処理などもありますが、地域によって異なります。
空き家期間中、電気・ガス・水道の契約を継続しておく必要はありますか。
長期不在する場合は(ガス漏れ等、安全上の問題から)ガスは必ず閉栓の手続きを行った方が良いと思います。水道水は通水、電気は室内等の確認の際に必要となります。管理をお願いする内容によって必要となる場合がありますので管理会社とご相談をお願いします。
火災保険、家財保険は継続加入した方が、良いですか。
空き家であっても、近隣火災、放火、漏電等により不測事態の恐れがあります、火災保険、家財保険の継続加入をお勧めいたします。
相続した空き家の隣人から境界確定協議への参加を申し入れられました。自分では境界が分かりませんが、どのようにすればよいでしょうか
専門家不在の境界確認は土地管理上危険です。申し入れた相手側に土地家屋調査士等の専門家が居れば、ご納得頂ける様説明を聞かれることが、今後の境界トラブルの予防となります。もし、専門家が居られない場合は、土地家屋調査士等の専門家に入って頂くよう申し入れることをお勧めします。
空き家の中に不用な家財道具や仏壇があり困っています。撤去の仕方や費用を教えてください。
不用な家財道具の処分は、お住まいの行政区が定めた方法により(分別方法・回収日時・回収場所等を要確認)ご自身で処分していただくか、あるいは、処理業者にお願いする方法があります。仏壇等の処分には供養・御魂抜き等が必要な場合もありますので、詳しくは専門業者にご相談ください。
空き家も固定資産税・都市計画税を払うのですか
使用していない空き家であっても、固定資産税及び都市計画税の課税対象となります。
空き家を活用する場合と取り壊す場合で、固定資産税はどのように変わるのですか。
住宅の敷地にかかる固定資産税は、軽減特例があり減額されています。使用しない空き家であっても建物があれば、多くがこの軽減特例を受けています。
空き家を取り壊すと住宅用地ではなくなり、軽減特例の対象から除外され、土地部分の税金は増加しますが、家屋にかかる固定資産税は課税されなくなります。
また、空き家が適正に管理されず、倒壊するなど著しく保安上危険となる恐れがある等の場合に、市町村から除却等の措置の勧告を受けた空き家の敷地は、この軽減措置の対象から除外されることとなります。
空き家を寄付したいが、どこに相談すればよいでしょうか。
市町村において、空き家の土地・建物の寄付を受け付ける場合があります。詳しくは、空き家のある市町村に御相談ください。
行政が寄付を受け付ける条件としては、どのようなことがありますか?
どんな空き家でも寄付を受け付けてもらえるわけではありません。市町村では、公共施設や事業用地として活用できると判断された場合にのみ受け付けるとすることが多く、公共利用が困難な場合は受付をお断りするケースが多い状況です。
建物の状況について検査(インスペクション)したい場合は、どのようにしたらよいですか。
インスペクションとは空き家の利活用やリフォームに先立って、建物の耐久性等について調査診断を、専門家により行いますが、調査を行うインスペクターをご紹介します。
古い空き家を相続しましたが、このまま使えるかどうかわかりません。どうすればいいですか。
空き家について、建物の耐久性等について行うインスペクションをご紹介します。
古い木造住宅の場合、建て替えとリフォームではどちらが良いのでしょうか。
築年数、傷み具合や購入のご予算にもよります。新築の方が、安心安全に生活できると思いますが、中古住宅の魅力は、新築に比べ比較的物件が安いことです。中古住宅を購入する場合はインスペクション等を行い、不具合の有無やリフォーム工事の内容や費用等を確認することが大切です。
リフォームや設備の取替の目安は何年くらいですか。
建物の劣化状況や設備の種類により異なります。
どのようなリフォームが必要かを検討するうえで、インスペクション(既存建物現況検査)を行い、構造の安全性や日常生活上の支障があると考えられる劣化事象の有無を把握することが有効です。
インスペクションの実施については、建築士や不動産事業者及び関係団体に御相談ください。
空き家は、改修しないと売買や賃貸をすることができませんか。
必ずしも改修しないと利活用(売買・賃貸)できないわけではありませんが、築年数、空き家にしていた期間・状況によっても傷み具合が違います。インスペクション等により利活用ができる状態なのか事前に確認し、その劣化や不具合の状況をきちんと告知することが、その後のトラブル防止に役立ちます。
空き家を借りていますが、自分たちで改造しても後で直せば問題ありませんか。
事前に貸主と取り決めしている場合を除いて、原則として借主が勝手にリフォームをすることはできません。リフォームを希望する場合は、必ず貸主や仲介業者に事前にご相談ください。
リフォーム工事にはどのくらいの費用が掛かりますか。
リフォーム工事の内容や規模により異なります。
震性能が基準に満たない建物については、耐震改修を行うことが望ましく、その費用も含めて考える必要があります。
改修費用は、業者に見積を依頼することとなりますが、公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営するサイトにおいて、リフォームの見積り事例やチェックシステムが掲載されていますので参考としてください。
http://www.chord.or.jp/index.php
また、リフォーム事例やリフォーム費用の相場が掲載されている、民間企業が運営するサイトもありますので参考としてください。(参考:http://www.homepro.jp/)
リフォームについて助成制度や減税制度がありますか。
県や市町村による助成制度や省エネ、耐震、バリアフリーなど、一定の質の向上のためのリフォーム工事をした場合の減税措置等があります。
一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会が運営するサイトにおいて、地方公共団体における支援制度の検索や減税制度に関するガイドブックのダウンロードなどが出来ますので参考にしてください。
http://www.j-reform.com/index.html
リフォームをする場合に、金融機関のローンを利用できますか。
各金融機関で各種リフォームローンを取り扱っています。詳しくは、金融機関窓口にてお問い合わせください。
また、バリアフリー工事や耐震改修工事には、住宅金融支援機構のリフォームローンが利用できます。詳しくは、取扱金融機関窓口又は住宅金融支援機構お客様コールセンター(TEL:0120-0860-35)にてお問い合わせください。
空き家を売却するにあたって、注意点を教えてください。
空き家は、空き家にしていた期間・状況によって、雨漏りやシロアリ等の不具合の箇所=欠陥(瑕疵)が発生している場合があります。売主にも一定の責任がありますので、インスペクション等によりその欠陥(瑕疵)の箇所と程度を知り、買主に告知することが重要です。
空き家の売却を検討していますが、自宅裏に山林、農地(田・畑)あります。一緒に売却できますか?
山林の売買には、手続き上、特別の制限はありませんが、農地の売買には、農地法に基づく許可等の手続きが必要となります。
購入者が農地を耕作目的で取得するか、宅地や駐車場等の農地以外のものに転用する目的で取得するかによって許可基準が異なります。
詳しくは、農地がある市町村の農業委員会に御相談ください。
土地建物を相続しました。空き家のほかに広い土地も相続しました。その土地を幾つかに分割して売却したいのですが、どのようにしたらよいでしょうか?
土地を複数区画に分割して反復継続して売却することは宅建業に該当し、原則として宅建業の免許のない者が行うことはできません。詳しくは、宅建協会または県の担当部署にご相談ください。
借地上の建物を所有していますが、売ったり貸したりすることは出来ますか。
借地上の建物には借地借家法の「借地権」が存在します。「借地権」が「地上権」か「賃借権」によって地主の承諾の有無等の要件が異なりますので、契約内容をご確認いただき、詳細は法律の専門家にご相談ください。
中古住宅の場合、リフォーム費用は売主・買主どちらの負担でしょうか。
リフォームは引き渡し後に買主の責任と負担で行うのが一般的ですが、業者が売主の場合は売主の負担で行うケースもあります。
家を売却したく思いますが、専属媒介・専任媒介・一般媒介とは何でしょうか。
家を売却する際に、宅建業者に買主を探して欲しいと依頼することを媒介(仲介)といい、依頼時には書面で媒介契約を締結することが義務付けられています。媒介契約の種類には、複数の業者に依頼できる「一般媒介」と1社にしか依頼できない「専任媒介」「専属専任媒介」の三種類があります。詳しくは、宅建協会にご相談ください。
宅建業者に売買の仲介を頼みたいのですが、仲介の報酬額はいくらですか。
仲介の報酬額は国土交通大臣が定めており、売買価格が400万円超の場合に一方から受領できる税抜きの上限額は、売買価格の3%に6万円を加えた額となっています。詳しくは、宅建協会にご相談ください。
空き家を購入する際に、隠れた不具合がないか不安です。安心できる保険制度はありますか。
中古住宅購入の際に利用できる検査と保証がセットになった既存住宅かし保険があります。詳しくは住宅専門の保険会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)にご相談ください。
空き家の解体を考えています。どのようなことに注意すればよいでしょうか。
建物を解体の際には、解体工事に関する各種の届け出から解体工事後の建築資材の再資源化、解体廃棄物の処理方法等、安全で適正な解体工事を行うために順守すべき事項が法律により規定されていますので、空き家の解体に当たっては、これらを熟知している解体工事の専門業者又は解体工事の専門業者で構成する業界団体に相談することをお勧めします。
老朽化した住宅を解体したいが、費用はどのくらいかかるものでしょうか。
一般的な一戸建て木造住宅を解体する場合には、解体工事費、建築資材の運搬費、再資源化処理費、廃棄物の焼却・埋立費だけでも13,000〜15,000円/m2はかかります。ただし、これはあくまでも目安であり、解体する建物まで車両が寄り付けない場合、敷地いっぱいに建物があって作業スペ-スが取れない場合、傾斜地に建っている場合等は割高になります。このように、解体工事の費用は、建物や立地の状況等によって違いますので、専門業者に現地を見てもらって見積もりをとる必要があります。
解体しようと空き家にアスベストが使用されている場合はどのようにすればいいですか
建物を解体する場合は、建物の耐火被覆材、保温材、断熱材等にアスベストが使用されていないか、建築資材にアスベストが含まれていないかを調査するとともに、使用又は含まれている場合には飛散防止の措置をとる必要があり、その費用は上記の費用以外に別途必要となります。アスベスト除去の専門業者又は解体工事の専門業者に現地を見てもらって見積もりを取るとよいでしょう。
市街化調整区域内にある空き家を解体したいと考えているが、建物を解体してから1年以上経過すると新たに建てる(建替える)のが難しくなるというのは本当でしょうか。
市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域として、建築物の建築が規制されています。その空き家が建てられた時期(線引きの前か、後か)、建てられた目的(農家分家住宅等)、次に建てるのが誰か(現在の所有者との関係等)や新たに建てる建築物の用途や規模などにより都市計画法に基づく許可が必要となる場合があります。
また、場合によっては、新たに建築することが難しい場合もありますので、空き家の所在する市町村や県の地方事務所建築課に御相談ください。
空き家を賃貸住宅として貸したいのですが、どうすればいいですか。
お近くの、賃貸住宅を扱っている不動産業者にご相談ください。
貸家の家賃はどうして決めたらよいでしょうか。
近隣の事例、建物の状況、駐車場の有無等により判断します。賃貸借の仲介を依頼する不動産業者とご相談ください。
建物に家財が残っていますが、そのまま貸し出しすることは可能でしようか。
流し台、下駄箱、エアコン等、建物に付属している什器以外は賃貸できない場合もあります。
空き家は、改修しないと賃貸をすることができませんか。
不具合な箇所は貸主の負担で修理することが必要です。借主の立場も考えて、快適で住みよい家にすることが大切です。
定期建物賃貸借とはどんな契約ですか。
契約の更新がなく、決められた期限で明け渡しを受けることができます。貸主は借主に対し、事前の説明と解約6ヶ月前の通知義務があります。
今は空き家にしていますが、数年後には自分で使いたいので、その時まで貸すことはできるのでしょうか。
定期建物賃貸借契約を締結すれば、定められた期日までに明け渡しを受けることが可能です。
宅建業者に賃貸の媒介を頼みたいのですが、仲介手数料はいくらですか。
貸主・借主双方から合わせて賃料の1ヶ月以内(税別)と定められています。管理料、立会手数料、契約更新手数料等が必要な場合もあります。
賃貸や売買は所有者と利用希望者の当事者間であれば取引できると聞いたのですが。
当事者間の直接取引による建物賃貸借契約は違法ではありませんが、法に定められた専門家である宅建業者の仲介を受けることをお勧めします。
遠くに住んでいるので、貸家の管理をどうしたらよいでしょうか。
不動産業者と「建物賃貸借管理契約」を結んで、建物・設備のメンテナンスや入退居時の管理などを委託することができます。
滅失登記の時期、方法、費用を教えてください。
滅失登記は建物が取毀された場合には、滅失の日から一ヶ月以内に管轄法務局に「建物滅失登記」を申請します。
但し、登記簿に主である建物と付属建物がある場合でどちらか一方を壊した場合には「建物表示変更登記」となります。
土地家屋調査士が代理して行なう場合、個別の案件により金額が変わりますので、ご相談願います。
※本人申請以外、法律により土地家屋調査士以外の者が代理して登記を行なうことは法律に抵触しますのでご注意下さい。
親が亡くなり、親が住んでいた親名義の建物が空き家となっています。抵当権がついていますが、その空き家を解体できますか?
借入金等の債務が残っているにもかかわらず、無断で当該空き家を解体してしまうと債権者(抵当権者)の権利を侵害したとして、損害賠償責任を問われかねません。解体前に債権者(抵当権者)と協議することをお勧めします。
親が亡くなり、親が住んでいた建物が空き家となっています。建物を取り壊したいのですが、兄弟との共有名義になっています。どうしたらよいでしょうか?
共有者全員の同意が必要となります。
建物を取り壊すことは、共有物に変更を加えることになり、他の共有者の同意を得なければならないと規定されています(民法251条)。
隣の家が崩れています。撤去してほしいのですが。
空き家は私有財産であり、これを管理すべきは所有者本人ですので、まずは、所有者に連絡するか、連絡先がわからない場合は、市町村担当窓口に御相談ください。そのまま放置すれば、倒壊するなど著しく保安上危険となる恐れがある場合は、空家等対策特別措置法に基づき、市町村で指導、勧告、命令がなされる場合があります。
空き家の所有者が不明で放置されています。どのようにしたらよいでしょうか。.
法務局に行けば、誰でも登記事項を閲覧(有料)することができますので、所有者の住所を把握することが出来ます。ただし、住所変更等の変更登記がなされていない場合や相続前の故人名義のままになっている場合があります。
所有者等の連絡先が分からない場合は、市町村担当窓口に御相談ください。空き家の所有者等の情報は個人情報保護の観点から直接教えてもらうことは出来ませんが、必要に応じて市町村から連絡をする場合もあります。
空き家に動物が住み着いており、不衛生で困っています。どうすればよいでしょうか。
空き家は私有財産であり、これを管理すべきは所有者等本人ですので、まずは、所有者等に連絡するか、連絡が取れない場合は、市町村担当窓口に御相談ください。
空き家に不審者が侵入していると隣接者から連絡をいただきました。どうすればいいでしょうか。
まずは、空き家の状況を確認してください。玄関のドアはしっかりと施錠されているか、窓や勝手口が壊れている、または壊されていないかなどを確認し、不審者が侵入した形跡があれば、お近くの警察署へ御連絡ください。
不審者が狙っているのは「誰も来る可能性がない家」です。ポスト、玄関への配布物・郵便物を整理したり、除草をするなど、誰かが定期的に管理作業を行うことで不審者を遠ざけることができます。
傷んだ空き家が崩落して通行人や隣家に被害をあたえた場合、どうなりますか。
空き家の瓦や外壁が落下するなどして、通行人がケガをした場合等には、民法第717条の規定により損害賠償責任が発生する可能性があります。